TPOJ通信

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余韻を楽しむ雫音の調べ

TPOJカスタマーサポートの佐藤です。

先週、ついに東京にも梅雨入り宣言が出され、傘を濡らすことの多い季節がやってまいりました。

ただ、そうは言っても晴れる時ももちろんあるわけで、そうした折には、初夏の気配を感じることがございます。
雨上がりに太陽が顔を出し、束の間地面を乾かし始めると、湿気とともに草と土の香りが立ち昇ります。そんな空気に触れると、雨の季節は夏の始まりでもあるのだと改めて気づかされますね。

真夏ともなれば息苦しささえ感じる草熱れ。でも、それも梅雨の走入の今はまだ、何か青さを含んでいるような気がいたします。


川のせせらぎ、波の音…。水が奏でる音というのはどこか情緒があって、不思議な心地よさを醸すものですね。

日本には、そうした水の音を風流として、暮らしの中に取り入れる趣向があります。
じっと耳を凝らすことで聴こえてくる、ひと滴の水の響き――。
それは水の音を感じる文化が生んだ、珠玉の調べでありました。

◆◇◆◇ 一滴の水が奏でる澄んだ琴の音 ◆◇◆◇

日本庭園の装飾の一つに、『水琴窟(すいきんくつ)』という設えがあります。

『水琴窟』とは、地中に埋めた甕(かめ)を利用して、水滴の反響音を楽しむ装置のこと。

水琴窟

日本庭園に行くと、蹲踞(つくばい)や手水鉢(ちょうずばち)といった意匠を目にすることがあるかと思います。
『水琴窟』はそうした飾りの近くに、穴を開けた甕を逆さまにして空洞を作るように埋め、その甕に蹲踞などから溢れた水を沁み込ませることで、一滴一滴、時間をかけて水滴を落とす仕掛けになっています。
やがて空洞の底には水が溜まるのですが、その水面に落ちる滴の音が甕の内部で共鳴し、琴のような澄んだ金属音を生むといいます。

微かな高低差をつけ、時に速く時に遅く、不規則なリズムを刻む雫音。それは1~2秒の残響音を残しながら、心地よい響きを鳴らし続けます。

水滴

ちなみにこの残響音の長さは、人間が最も心地よいと感じる秒数なのだとか。その証拠に、著名なコンサートホールは、やはり音の余韻が1~2秒残るように設計されているといいます。
『水琴窟』は江戸時代中期にできたものなので、人間の感覚を頼りに音の余韻を計算したと推測されるのですが、この偶然の一致は もはや見事としか言いようがありません。

一滴の雫と地中の空間が織りなす水音の協演。
その清らかな音色は、派手さこそないものの、確かな存在感の宿る音であるような気がいたします。

この記事を書いた人

佐藤
佐藤
2009年入社。
マーケティングチームでライティング業務を担当しています。
浅草生まれの葛飾育ち!
下町エキスがたっぷりと染み込んだ江戸っ子です‼